国語の指導方針

国語はすべての科目の土台になる基礎科目。

国語力と他の教科の学力は密接不可分に連動しています。これは入試レベルが高ければ高いほどますます当てはまる事実です。

2021年から始まった共通テストの主眼はズバリ、「思考力と表現力を見ること。」です。

共通テストでは、従来のような知識偏重型の試験形式ではなく、生徒の論理的思考力と、自分が理解したこと、考えたことを、説得力を持って表現できる力が問われます。

論理的思考力はすべての科目の土台になる能力です。数学はもちろん、理科、社会などでも、ある問題を考える際に、与えられた条件や資料をもとに筋道を丹念に追っていく論理的思考力は一番大切な能力です。

国語力がなければ他教科の成績も上がらないことをまず英語を例にあげて考えてみましょう。

中学生のみなさんにはまだ遠い先の話に思えるかもしれませんが、東大の英語の問題の話をしましょう。

東大や医学部、難関大学の英語は高い国語力がなければ解けない。

東大の入試の英語問題を解くには、英語ができるだけではダメで高い国語力が必要とされます。例えば、東大の英語の問題では毎年必ず1問目で要約問題が出されます。要約問題は英語を日本語に訳せるだけでは点数がもらえません。与えられた英文から「この文章の筆者はいったい何が言いたいのか」ということを的確に捉えて、簡潔な日本語で表現する必要があります。つまり、要約問題を解くにあたっては英語力のほかに国語力が必要となるのです。さらに、東大の英語の2問目では、文章の並び替え問題が出されます。英語の長文の全体構造を捉え、論理展開を予測しながらバラバラになった文章を正しい順番に並び替える力もまさに国語力そのものといえます。ちなみに、慶応の医学部の問題にも東大と同様、要約問題、文章並び替え問題がしばしば出題されます。

東大や慶応の医学部以外の難関大学でも英語で高い国語力を要求する大学はたくさんあります。

例えば、国立医学部の中で東大理Ⅲに次ぐ最難関レベルといわれる東京医科歯科大学【略称、医科歯科】の英語の問題がその一例です。医科歯科の英語は超長文問題が一題だけ出されます。そして、必ず出される設問が「この文章の筆者が〇〇についてどのように考えているのかを500字-600字の日本語で書け。」といった非常に長い論述問題なのです。「500-600字」というとちょっとした小論文ともいえる長さなので、生半可な理解、表現力では全く太刀打ちすることはできません。この医科歯科の問題からも英語の成績を上げるためには英語が読めるだけではダメで、理解したことをかなりの長文で正確に表現する国語力が必要なことがお分かりいただけることと思います。

さらに、東大、一橋、早稲田といった難関大学では、世界史、日本史、などの社会科目も400-600字程度の論述問題が出され、大きな配点がなされています。このような論述問題を解くにも国語力は不可欠であることはお分かりいただけると思います。

授業では論理的思考力と表現力を徹底して身に着けてもらう。

成増塾中学部の国語の授業では、みなさんが絶対に身に着けておくべき論理的思考力と表現力を鍛えることを主眼とした授業を行います。

授業では入試問題を一緒に解いていきますが、ただ正解、不正解を見つけるのではなく「筆者はどのような論理展開をしているのか。」「なぜこの答えでなければいけないのか。」ということを生徒と双方向のやり取りをすることで徹底的に考えていきます。

そのような勉強を続けていれば、どんな難問が出ても自分で筋道を立てて考えられるようになり、国語だけでなく他教科にも大きなプラスの影響を与えることになります。

たくさん本を読むことが最高の入試対策。

なお、授業以外でみなさんにお願いしたいのは、「とにかくたくさん本を読んでください。」ということです。

私は長年の指導で「本をたくさん読む生徒は特別な勉強をしなくても国語の成績がよい。」ということを知っています。たくさん本を読んでいる生徒、中でも入試問題に出題されるような作家の本に日常的に触れている生徒は何の努力もせずに国語で高得点を取ることができることが多いのです。とりわけ小説の問題ではこれが当てはまります。入試問題に出題される作家はネットで検索すればすぐにわかるので自分の好みに合いそうな作家の中から始めてみてはいかがでしょうか。

授業の中で一人一人の答案にコメントします。

さらに、記述・論述問題ではみなさん一人ひとりの解答を授業の場で示し、不足している点を追加し、間違っている点を正していきます。授業に参加する生徒はその場で自分の書いた解答がどう評価されるかをすぐに知ることができるのです。また、難関校をめざす他の生徒の答案を見ることも大変参考になります。当然のことですが、「自分の意見を書け。」といったタイプの問題に対して、答案は生徒ごとに異なるので、自分以外の生徒の異なる意見を授業で知ることで問題に対する理解を深めることができるのです。