受験コラム

2015年度卒業生 小川健さんからの手紙―成増塾で勉強したことは一生の宝!

【更新日】2022年06月20日

こんにちは、2015年度に成増塾を卒業した 小川 健 と申します。
当時は英語/甲斐先生と数学/押川先生に教わっておりました。
両先生の素晴らしい授業のお陰で、私は早稲田大学教育学部数学科に(推薦)入学できました。
合格の連絡をした際に喜んでくださったことを今でも思い出すことができます。
皆様お元気にしていらっしゃいますでしょうか。

私は早大に進みましたが、勉強することに挫折してしまい、休学ののちに結局中退してしまいました。
高校生当時は両先生の姿に影響され教師になりたいと言ったこともありましたが、教職課程を修了することもできず結果としてはその夢をかなえることはできませんでした。
その後はバイトを転々としつつ自営業の両親を継ぐのかなあと思っていたのですが、去年なんとなく応募した企業にたまたま就職することができ、現在は静岡県で一人暮らしをしています。

私は元々小さいときより鉄道が大好きで、そのことも在籍中はなしたかもしれません。
夢が破れ、それでもこのまま家にいるのも申し訳ないと思っていた時に、ネット広告で募集を発見しました。
夢がなくなり将来が見えない中で、とりあえず好きなことを仕事にできたら楽しいだろうなと思って軽い気持ちで応募したところ、社長に気に入られたのかどうか、就職を果たして親元を離れ、東京から離れた静岡県で一人で働いています。

鉄道会社とは言いますが、路線長は9.2km、片道21分で終点まで着いてしまう、とてもとても小さな路線です。
従業員も本社を含めて30人に満たない数です。
私は就職するまでこの街と縁は全くなかったのですが、それでも会社の皆さんは優しくして頂き、受け入れてくれたのかなあと感じています。
現在は駅員として、切符を売ったり改札をしたりしています。
(弊社はIC非対応で、未だに”切符を切る”ことをしています。)

そして、今とても大きな壁に当たっています。
就労する条件として、国家資格の取得に挑戦しています。
それは「甲種電気車運転免許」(動免)の取得です。
電車の運転士になるため、免許を取得するための国家試験が迫っています。あのときと同じく受験生です(笑)

大きな会社では車の免許を取るため教習所に通うように、会社が独自に用意した施設で教育を受けるものなのですが、弊社はあまりにも小さいものですから、座学も無く通常勤務の合間を縫って勉強しました。
専門の講師がいるわけでもないですから、職場の先輩方がたまに教えてくれるばかりで、半分くらい独学で目指しました。

私は大学で勉強に対して不信感を覚え、とてもつらくなり、逃げるように大学から離れました。
しかし今、仕事をして生きるために自分の力で勉強すると、意外にもとても楽しいのです。
それは両先生の授業のように、新しいことを学び、理解し、問題の解が見つかる。そんなワクワクするような体験でした。
大学に入って以来その経験ができなかったものですから、本当に、本当に、楽しくて、嬉しかったです。
過去問が存在し、問題内容は毎年大きく変わるものでもないので、学習する目途はすぐにたちました。
大体は暗記物で、法律の条文を一文そのまま書かせたり、車両の構造を俯瞰的に理解していないと解けなかったり、あるいは数学の問題もあったりします。(4つくらいしかない公式を覚え値を代入する簡単なものです。)
最初は1問も分からなかったものですが、3か月ほど集中して勉強し、満点が取れるとは言いませんが9割は答えられるだろうと自信が付きました。それと同時に、ここ5年以上忘れていた勉強の楽しみを思い出し、本当に感動しました。

試験は学科と実技の2科目あります。
学科試験は3/3、名古屋にある国土交通省の施設で受けます。
職場の方も、両親も、だれも付かず、一人で、名古屋の試験会場へ向かいます。

色々な人に期待されました。
本社からは早くも私が試験に受かる前提で年間計画を組んでいると言われました。
定年を過ぎてもなお嘱託で働く先輩からは、やっと仕事をやめられると言われました。
運転士養成枠で契約社員として入社したものですから、もし試験に落ちたら正社員になれないかもしれません。
最悪契約を打ち切られるかもしれません。
私の人生がダイレクトにかかっています。
すごいプレッシャーです。折れそうです。

それでも、頑張って受験したいと、考えています。
受験について思いつめているとき、成増塾でお世話になったことを思い出し、文章を書きました。

採点基準は6割だとどこかで聞きました。
冷静に問題を解けばまず落ちることはないと確信しています。
それでもちょっとだけ、ちょっとだけ不安です。
ですが、頑張って行きたいと思っています。

学科試験は目の前ですが、それにもし受かったら次は実技試験です。
早ければ5月中には受けさせたいということです。
実際に本物の電車を運転して、適切な操作ができているか、非常時の対応なども採点されます。
それにさらに受かれば、免許が交付されます。
すると今度は1人で乗務できるよう社内教育が始まります。
最終的に夏には独り立ちさせる計画らしいです。
そして一度免許を取れば、更新試験などはないものですから、一生ものになります。
この先数十年、働くことができます。あるいは資格持ちとして、日本全国の鉄道会社へ運転士として転職も可能になります。
居場所ができます。

私は今、人生で一番楽しいと感じています。勉強も楽しいですし、
仕事内容も充実していて、社内外問わず全員優しくしてくれています。
正直給料はかなり安いですが、ずっとこの環境に居続けたいと思っています。

だから、全力で受験に臨みたいです。

特に落ちはありません。まとまりのない文章で申し訳ありません。
最後に私の働く会社の宣伝をさせてください。

自分の勤めているところは静岡県にある小さな鉄道会社です。
全ての駅から富士山を見ることができます。
私の家からも、職場からも見られます。

眺めていると、とても勇気が湧きます。
線路は製紙工場の中も通り、電車内から工場夜景を楽しむことができます。
夜景観光士という資格を持った社員が、夜景の案内もします。
私も取得しました。

卒業以来、大学での不振が心残りとなり成増塾にはほとんど顔を出しませんでした。

ですが、今はとても楽しく過ごすことができています。その楽しい毎日が、きっと、ずっと続いたら素敵だろうなと感じています。

受かったら、きっと秋ごろになれば一人で電車を運転していると思います。お忙しい中とは思いますが、もしも機会がありましたら、ぜひお越しください。もしくは、周りの方に紹介してみてください。

私の”楽しい”と思えた場所を、色々な人に届けたいです。


たしか高1-3で成増塾に通っておりました。
高田馬場も移転なさったようですね。
1階に入っていたつけ麺屋は食べることなく在籍中に潰れてしまい、残念だった思い出があります。

私は早稲田高校から指定校推薦により早稲田大学へ進学しました。
推薦で決めたものですから12月頃教室から離れました。
入学試験を試験会場で受けたことはないことになります。
高校時代期待した大学での生活は結果として満足できませんでしたが、その後紆余曲折の末就職できました。
成増塾では受験の面倒を見ていただいたのが主でしたので、最終的に中退したものですから不義理を強く感じます。
ですがそれ以上に素晴らしい経験を積むことができました。

具体例で言えば……
甲斐先生の英語は、駅員と言う対人接客業において外国人とのコミュニケーションにダイレクトに効いております。
年上の上司が単語と身振りで話すのに対して自分は文章での会話ができますから、ちょっと嬉しくなります。
押川先生の数学も今回の資格試験では、他の先輩方は口を揃えて難しいという計算問題をすごくちっぽけに眺められました。
押川先生には色々と難しい問題を鮮やかに解説してもらったものですから、比較すれば簡単になりました。
そして両先生が楽しそうに勉強を教えてくれる姿にとても感銘を受け、特に押川先生の授業は美しいものでしたから、憧れて数学教師を目指して教育学部数学科に入学を決心したものです。
結局その夢は叶えることはできませんでしたが、その想いは消えないどころか最大出力で燃えています。

好きな物をお客様に、色々な人に伝える仕事に就きました。
弊社は規模が小さく、補助金を毎年数千万円頂かないと成り立たたないほどにお金もありません。
社長には日々の業務以外にも、例えばイベント運営や物販企画など様々やってもらう必要があると言われました。

最終面接の時、私はむしろやりたいとはっきり即答したと思います。
去年末にどうしても担当が割けなくて、入社して3か月程度しかたっていない私が「小学校の社会科見学」の案内をする機会がありました。鉄道という構造や沿線の案内など、必死に説明しました。質問も積極的に募集しました。
この案内は社内的にも良かったらしく、次に同様の依頼があったら小川を指定してくれと一部の社員から本社にお願いされたと聞きました。

子供たちの目がすごく輝いて私を見ていたのです。

あの時塾で勉強していた私も、先生方を憧れの目で見ていたと思います。教師こそなれませんでしたが、私は更に新しい子供たちの憧れになれたでしょうか。
成増塾で学んだこと、憧れたこと、勉強の楽しさ、全てが今の仕事に生きています。
コロナ禍で大学に入っても先が見えないかもしれません。
授業を対面で受けさせてくれないかもしれません。友達もサークルもないかもしれません。
その結果、大学を出られないかもしれません。
ですが塾で勉強したことは、大学を目指すという目的が無くなっても一生の宝物になると確信しています。

私は24歳になってしまいました。現役受験生だった頃もだいぶ遠くなってしまいました。
しかし一生通用するかけがいのない経験が、成増塾にはありました。
今でも鮮明に覚えています。
受験前で心が不安になり、だいぶ昔の付き合いに縋ってしまいました。
長文ご迷惑をおかけしました。

先生方、スタッフの皆様、そして勉強をするすべての皆様が健康でいられることを願っております。
特にお世話になりました甲斐先生/押川先生には、重ねてありがとうございましたとお伝えいただけたらと思います。
全ての受験生と合格者を応援しています。

小川 健